あらすじ
「良かったらさあ、今度一緒に映画行かない?」
遠い存在だと思っていた彼女は、俺のダメ元の誘いに――信じられないほど、あっさりと頷いた。
好きな俳優はチャック・ノリス。喫茶店で頼むのは可愛いメロンソーダ。
予測不能な彼女に惹かれていく中、不意に飛び出した「バイトを辞める」という言葉。
このまま彼女を、手の届かない場所へ手放したくない。
焦燥に駆られた俺が切った最後のカードは、愛車「ホンダ・CB-1」での夜のツーリングだった。
夜の海遊館。外界から隔絶された天川村の静寂。
背中に伝わる暴力的なまでの体温と、不愛想な彼女が俺だけに見せた「想定外の顔」。
……これは、九月の物語が始まる、少し前のこと。
一九九三年の夏の終わり。彼女の「答え」が、俺の新しい季節(New Season)を連れてくる。