あらすじ
化け狸の狸塚初が、鬼の鬼島嘉彦と見合いをしていると、嘉彦の美貌に心を奪われた自称婚約者が四名乱入してきた。嘉彦は女性達の主張を妄想と切り捨て、見合い会場となった料亭の従業員達に拘束するよう命じる。
すると女性達は、初に八つ当たりを始めた。危害も加えようとするも、すぐさま嘉彦に鎮圧される。
ほっと胸を撫で下ろした初は、安心した拍子に足の力が抜け、嘉彦へ体当たりをかます。慌てて謝ろうとした瞬間、顔のすぐ横を包丁が通過する。恋に狂った料亭の仲居が、嘉彦を殺そうと包丁を投げたのだ。
嘉彦は地面に刺さった包丁を投げ返し、仲居を無力化する。
初が腰を抜かしていると、嘉彦は手を貸してくれた。その際初は、あなたは大丈夫なのか、と問い掛ける。後ろから突き飛ばしてしまったので、怪我はないかと念の為聞いたのだが、何故か嘉彦に睨まれる。
困惑していたら、初の父親が駆け込んできた。騒動に巻き込まれた娘を哀れむと、父は初と従僕を連れてさっさと帰っていく。
去り際、初は嘉彦に会釈をした。そして、こんな暴走狸が実の父と知られる恥ずかしさから、すぐさま顔を覆うのだった。
化け狸一行がいなくなり、嘉彦は驚きつつも安堵した。
実は嘉彦は、見合いに積極的ではなかったのだ。昔から見た目だけで判断されたり、付き纏われたりしてきたお陰で、女性が苦手だった。それでも家族の為にと見合いに挑んだが、結局問題が起きてしまう。
初に申し訳なさを覚えていると、ふと背中を押された。直後に包丁が飛んできたことから、初に守られたのだと勘違いする。あなたは大丈夫なのか、という質問も、殺され掛けた嘉彦を案ずる言葉だと思い込む。
初対面の相手を、何故身を呈して守ったのか。不可解すぎて、嘉彦の顔は自ずと険しくなる。同時に赤くもなった。あまりの赤さに、遅れてやってきた兄から、何があったのかと問われる。
嘉彦は、別に何も、と言い、初達が去っていった方向を眺めた。