あらすじ
天青皇国の大将軍の娘・柳 凛華(やなぎ りんか)は、厳格な父の教えの下、次期皇帝である皇太子・白玲玉(はく れいぎょく)の絶対的な盾となるべく幼い頃から剣の鍛錬を積んでいた。花を愛でる心優しい玲玉は、その線の細さと病弱さゆえに、凛華にとっては常に自分が庇護し、守らねばならないか弱き存在だった。
しかし、その穏やかな日々は叔父・煌雷(こうらい)の反逆によって無惨に引き裂かれる。皇帝と凛華の父は殺され、美しい皇国は簒奪された。血と炎に焼かれた皇宮から、絶望の中で泣き崩れる玲玉の手を無理やり引き、凛華は雪山を越え、命からがら砂礫の国シャフルードへと逃げ延びた。
灼熱の異国で、凛華は己の青春を捨て、血みどろの用心棒稼業に身を投じる。すべては、故郷を失い怯える殿下を守り抜くため。
異国での過酷な潜伏生活が続くある日、凛華は本国から放たれた密偵の罠に落ちる。毒に倒れ、絶対絶命の危機に陥った彼女の前に現れたのは、もはや庇護されるべき少年の面影など微塵もない、凄絶な覇気を纏う大人の王——玲玉であった。
『君が僕の盾になる時代は、もう終わった』
圧倒的な武力で敵を惨殺し、絶望する凛華を力強く抱き上げた玲玉は、もはやかつての姿はなく、国を奪還するための冷酷な皇帝の器へと覚醒していた。自らを犠牲にし続けた不器用な女武将と、彼女を支える覇王。関係性を逆転させた二人は偽りの平穏を捨て、奪われた玉座を取り戻すべく、血塗られた修羅の道へと踏み出していく。