あらすじ
由緒正しき桃太郎家——代々鬼退治を担う名家に生まれた次男・桃次郎の人生設計は単純だった。
長男が鬼退治をする。俺はその保険。出番は来ない。
それでよかった。本気でそう思っていた。
ところが兄・桃太郎は、鬼退治の前夜に「風に吹かれて生きていく」と言い残して消えた。
残されたのは混乱する家族と、無駄に長い緊急会議と、代打に選ばれた俺。
旅に出れば、口うるさい犬はきびだんごを誓いの印だと重く受け取るし、
軽い猿は「兄貴おもしれーな」と笑いながらついてくるし、
自称アイドルの雉は自己紹介のたびに撃たれる。
しかも各地には兄の妙な痕跡が残っていて、行く先々で「感じのいい人だった」と褒められる。
——俺より先に好感度を稼ぐな、兄貴。
犬・猿・雉を連れた次男の鬼退治。
果たしてこの旅の終着点は、本当に鬼ヶ島なのか。