あらすじ
公爵令嬢リゼット・ヴァルフェールは、二十歳の誕生日の夜に毒殺された。
犯人は分からないまま、彼女は三回目の人生を迎えた。
一回目の人生では、婚約者である王太子エドガーに「君はつまらない女だ」と婚約破棄され、失意のまま辺境に追放されて病死した。
二回目の人生では、追放を回避し、社交界で完璧な令嬢を演じた。しかし結末は毒殺。祝いの席で、誰かがリゼットの杯に毒を盛った。最期に見たのは、微笑む出席者たちの顔――。誰が犯人なのか、分からないまま意識は闇に沈んだ。
そして三回目。
「――今度こそ、あなたを見つける」
十四歳の体に戻ったリゼットは決意する。犯人を突き止めるために、今世は探偵として生きると。
前世で学んだ毒物の知識、貴族社会の裏事情、そして二回分の人生で培った人間観察力。それらを武器に、リゼットは後宮の闇、貴族間の陰謀、そして自分の"死"の真相に迫る。
「あら、どうしたの? そんなに怯えた顔をして。――私が何か知っているとでも?」
犯人に辿り着くまでの推理劇。しかし調べれば調べるほど、事件は複雑に絡み合い、リゼット自身の出生の秘密にまで繋がっていく。
そしてなぜか、前世で彼女を「つまらない」と捨てた王太子エドガーが、三回目の人生ではやたらと距離を詰めてくる。
「……なぜ私に構うの? 前は見向きもしなかったくせに」
「前? 何の話だ。俺は――最初から、おまえしか見ていなかった」
死の謎を追う少女と、不器用な王太子。毒と嘘が渦巻く宮廷で、真実と愛の行方は――。