あらすじ
ある日、クラス一のイケメンに突然「付き合ってほしい」と告げられた――。
戸惑う私に、彼は迷いなく言う。
「覚えてるから」
その言葉の意味を、私は知らない。
そして翌日。
教室中の視線が、一斉に私に向けられる。
「ほんとなの?」「昨日一緒に帰ってたよね?」
逃げ場のない問いかけに言葉を失う私の代わりに、彼は当たり前のように言った。
「事実だよ。だから、あんまり困らせないで」
まるで最初からそうだったみたいに。
周囲のざわめきの中、彼は自然に距離を縮めてくる。
「昼、食った?」――そう言って差し出されたパン。
屋上で並んで座る距離。
そして、「彼氏彼女だろ、俺たち」という何気ない一言。
嬉しいはずなのに、胸の奥に引っかかる違和感。
「なんで、私なの?」
やっとの思いで聞いた問いに、彼は空を見上げて答える。
「覚えてるって、言っただろ」
それだけ。
それだけなのに、心が揺れる。
「お前は変わってないし」
「見つけたかっただけ」
「逃す気ない」
まっすぐすぎる言葉に、心臓が跳ねる。
優しくて、近くて、温かいのに――
どうしてか、少しだけ怖い。
そして彼は言う。
「名前、呼べよ。これからずっとなんだから」
距離はどんどん近づいていくのに、
どうしても消えない疑問がある。
――なんで、私?
これは、彼だけが知っている“過去”と、
私だけが知らない“記憶”から始まる恋の物語。