あらすじ
夕歌(ユウカ)が目を覚ますと、そこは静寂に包まれた閉館後の図書館だった。
窓の外は夕闇、出口はすべて閉ざされ、なぜか館内の時計は狂ったように逆回転を続けている。
絶望的な状況で出会ったのは、場違いなほど美しいピンク髪の女性、烏丸胡桃(カラスマ・クルミ)。
「私、三十六歳で二十歳の子を持つお母さんなの」
自称・専業主婦だという彼女と共に、夕歌は脱出の手がかりを求めて、禁じられた地下室へと足を踏み入れる。
昭和の匂いが漂う一階、最新設備に塗り替えられた二階、そして――かつての面影を失い、異形の迷路へと変貌した地下。
「ねえ、夕歌ちゃん。時間の結び目って信じる?」
失われたはずの「しおり」を巡り、二人はこの図書館が隠し持つ、残酷で優しい秘密に直面する。
これは、孤独な少女が「記憶」と引き換えに「明日」を掴み取る、一夜限りの幻想脱出劇。