あらすじ
「はい、次の患者さんどうぞ」
女だからという理由で宮廷薬師の道を閉ざされた伯爵令嬢リネットは、昼は家で息を潜め、夜は花街とスラムの片隅で薬師として生きている。
診るのは、花街で働く女たち、表の薬師にかかれない事情持ちの男たち、そして金のない貧民たち。誰にも顧みられない人々を相手に、リネットは今日も薬を煎じていた。
そんなある夜、診療所にひとりの男が転がり込んでくる。顔はいいのに態度は不躾。しかも事情も名前も明かさない。面倒事の匂いしかしないその男に、リネットは嫌味たっぷりに「宮廷の有名薬師にでも診てもらえば?」と言い放つがなぜか彼は、他の誰でもなくリネットだけを頼ってきて――?
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