あらすじ
熱を出して寝込んだ朝、天馬詩音は前世の記憶を取り戻した。
そして気づく。男の美醜感覚は普通なのに、女の子に対する価値観だけが、自分の知るものと真逆になっていることに。
本来なら美少女としか思えない姉は、醜いものとして俯いている。
守ってやりたくなるほど可愛い妹も、褒め言葉ひとつで怯えてしまう。
学校へ行けば、そこにもまた、誰にも肯定されずに傷ついた女の子たちがいた。
だから詩音は、ただ見たままを口にする。
綺麗だと。可愛いと。似合っていると。
それだけのはずだった。
けれど、誰にも言われたことのなかったその一言は、彼女たちにとってあまりにも甘く、あまりにも強すぎた。
泣かれて、縋られて、試されて。
気づけば距離感はおかしくなり、空気は戻らず、ただ褒めただけのはずなのに人生がどんどん詰んでいく。
しかも困ったことに、その劇毒が効くのは姉妹だけじゃない。
“可愛い”の一言に飢えていた女の子は、思ったよりずっと多いらしい。
これは、女性だけ美醜逆転した世界で、“醜い”と蔑まれる女の子たちに真正面から「可愛い」と言ってしまった少年の物語。
その一言は救いで、同時に劇毒だった。
優しさから始まるのに、まるで穏やかには終わらない、少し重たくてかなり面倒な美醜逆転ラブコメ。