あらすじ
左腕に、文字が痣のように浮かび上がっている。
何故かはわからない。物心ついたころにはもうあった。
羽柴皇也の文字は、【蟲】どうやらその文字が関係しているらしく、皇也には、虫を自在に操れる能力がある。
皇也はそんな誰にも信じてもらえるはずのない、不思議な能力を持て余していた。
そんな中、高校一年生の夏休みに皇也は、秋久保海渡という小説家に出会う。
秋久保もまた、文字を持つ者だった。
秋久保は、左腕の文字は、文字を持つ者同士なら、見えるのだという。
皇也は、文字についての話を聞くために、秋久保に連れられて、文字を持つ者たちが集うという、【カフェ・福耳】を訪れる。
そこでは、文字を持つ者のことを〝ファクター〟と呼び、能力に関しての情報交換や、共有を行っていた。さらに、秋久保は皆に護身術を教えていた。奇妙な能力を持っていることで、命を狙われる可能性がある。万が一の時の為に、身を守る術を身に付けろというのだ。
皇也は、他のファクター達と交流し、日々護身術の鍛錬を重ねることで、退屈だった毎日を充実させていく。
しかし、その理不尽に与えられた能力のために、皇也は自分の経験以上に、傷つき、苦しむ者がいるのだと知る。
彼らは皆、能力を持つがために失い、失っては、何かを得るということを繰り返し、生きている。
そして、その傷と苦しみが悲劇を招く。
正しさとは、生きるとは、どういうことなのか。失った先で得るものは何なのか。
それぞれが答えを掴もうともがき、大切な者への想いを抱えて運命と戦う。
与えられた文字の能力の真相が明かされた時、残酷な現実に打ちのめされながらも、皇也達は命を背負い、人生の選択をする覚悟を決める。