あらすじ

三十代半ば、土と汗の匂いが染みついた男がいる。彼は盗掘者だ。かつての相棒はもういない。左足は昔の事故で少しだけ引きずる。ある晩、彼は国境に近い山あいで、どの資料にも載っていない古墳群を見つける。内部に眠っていたのは金銀ではなく、粗末に包まれた骨壺と、錆びた眼鏡、そして一枚の焼け焦げた写真だった。 掘り返すたびに浮かび上がるのは、遺物ではなく――彼自身が五十年前の戦火に置き去りにした、ある約束の記憶。 これは英雄の物語ではない。報酬も名声もない。ただ、静かに、泥臭く、一人の男が自分の過去という「沈黙」を土の下から掬い上げるだけの話である。ページをめくる手が、次第に慎重になる。そんな小説を書きたかった。

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小説を読もう2026/04/03
  • 現在の作品遺跡の沈黙