あらすじ
かつてない脅威が人類を襲った。
それは、魔王による侵略でも、禁断の黒魔術でもない。
――杉花粉である。
合理主義すぎる魔王ヴェルデは、ある日ひらめいた。
「人間、戦う前に弱らせればよくない?」と。
かくして始まった前代未聞の実験――
“魔法・杉花粉大散布作戦”。
結果は大成功。
騎士はくしゃみで剣を落とし、
魔導士は詠唱中に「ヘックション!」で全てが台無し、
弓兵は涙で的が見えず、
ついでに国王も鼻声で威厳ゼロ。
戦争どころではない。
対抗策として開発された「完全防護マスク」は、
息苦しすぎて逆に弱体化するという謎仕様。
さらに追い打ちをかけるのは――
「外に出たくない」という、あまりにも人間的すぎる敗北理由。
だが人類も負けてはいなかった。
「じゃあ春に戦うのやめようぜ」
という歴史に残るレベルのシンプル戦略で反撃開始。
さらには杉林ごと焼き払うという雑すぎる環境破壊戦術まで発動。
果たしてこの戦いの結末は――!?
そして魔王は次なる恐怖を呟く。
「次はヒノキだな」
終わらない。地獄の季節ローテーションが始まる。