あらすじ

この国には古くから、王家の失政を貴族令嬢に背負わせる慣習がある。 婚約者として差し出され、頃合いを見て「悪役令嬢」として断罪される。 その繰り返しで、王家は何百年も民の怒りをかわしてきた。 公爵令嬢ミリアもそのひとりになるはずだった。 けれど前世の記憶を持つ彼女だけは知っている。 これは伝統でも正義でもなく、ただの制度的な人身御供だと。 断罪の先に用意されたのは、辺境将軍との一年限りの婚姻。 たどり着いた先は、地図すら存在しない荒野の城だった。 そこでは誰も断罪されてきた令嬢に期待などしていなかった。それでも、ミリアは泣かなかった。 白紙の紙を取り出し、前世で得た測量の知識を頼りに、この土地で最初の地図を描き始める。 道を直し、橋を架け替え、辺境の暮らしが変わるたびに、「断罪された令嬢」の評判は静かに塗り替わっていく。 無関心だった将軍が、地図の修正点を指で示すようになる。 四十日の遠征から、回を追うごとに早く帰るようになる。 その理由を、ミリアだけが気づいていない。 一年の期限が近づく。 そのとき将軍が差し出したのは、延長の書類ではなかった。 その地図が描き出したものを、ミリアはまだ知らない。

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小説を読もう2026/04/03
  • 現在の作品完成した地図に書き足したのは、あなたの居場所でした。