あらすじ
競う剣を持った男が、断つ剣の時代に生きる。
現代日本、フェンシング選手・風間ハルトは、試合に勝ち続けながらも答えを持てなかった。これは本当に自分の剣なのか。勝つこととは何か。
ある嵐の日、白い閃光とともにハルトは戦国時代へと飛ばされる。
言葉は通じる。しかし剣は通じない。命が最も軽く、剣が最も重い時代。日本刀の重さに、戦場の泥に、命のやりとりに、剣は何度も折れそうになる。足軽の新九郎と馬方の娘コマキに助けられながら、それでもハルトは生き延び、この時代のどこにも存在しない自分だけの剣術を作り上げていく。
やがてハルトは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に出会い、歴史の奔流の中に立つ。
歴史は変わるのか。
選ぶのは自分だ。
天正十年、六月。本能寺。
炎の廊下で、ハルトは一人の男と対峙する。
剣は、時代を超えて受け継がれる。ある剣士の軌跡だけが静かに残った。創始者の名は、誰の記録にも刻まれなかった。
選べ。構えろ。突け。
――En garde.