あらすじ
サンクチュアリ聖王国の聖女リィネは、民衆から「魔力の衰えた無能な偽聖女」と蔑まれていた。
だが、その真実はあまりに醜悪だ。
第一王子ジュリアスが日々積み上げる「精神的な腐敗」や「悪行の報い」を、リィネが自身の魔力を削り、身代わりの『ゴミ箱』として吸い取り続けていたに過ぎない。
王子は裏で奴隷を買い込み、己の業を彼らに転嫁し、表面上だけは「黄金の救世主」を演じ続けている。
リィネはそのおぞましいカラクリに気づきながらも、王子の結界に縛られ、毒に蝕まれる日々を送っていた。
しかし、ついにその時が訪れる。
王子が新たな「綺麗なゴミ箱」として新聖女候補を迎え、用済みとなったリィネに「偽物」の烙印を押して国外追放を言い渡したのだ。
「――ええ。喜んで、お受けいたしますわ」
絶望すると思われたリィネは、冷徹な微笑みを浮かべる。
彼女の背後には、王子の本性を見抜き、彼女に絶対の忠誠を誓う野性味溢れる騎士団長ガルハルトと、その精鋭たちが控えていた。
国境を越え、王子の支配から解放された瞬間、リィネの内に溜まった汚泥は消え去り、大陸を震わせるほどの神聖な力が覚醒する。
一方で、唯一の『浄化装置』を自ら捨てた王子は、逆流し始めた自分自身の毒に、内側から肉体を腐らせ始めて――。
これは、虐げられた聖女が己の価値を取り戻し、自分を信じてくれる騎士たちと共に、腐りきった王国を捨てて真の幸福を掴むまでの物語。