あらすじ
時刻は深夜。
かつて兄が使っていた、今は私の部屋。
私は机に向かい、一人でペンを走らせていた。
静寂の中で耳を刺す、ヒーターの音。
独りきりの孤独に押しつぶされそうになったその時、
ガチャリとドアが開いて、あいつが顔を出した。
「おーい、妹。……お腹すいた」
ひょっこり現れたのは、ずっと会えなかったはずの、自由奔放な兄。
勝手に部屋に入り込み、ブラジャーを被って笑いを取りに来る、相変わらず最低で最高のお兄ちゃん。
「どこにも行かずに待っててね」
そう言って私がキッチンへ向かう、夜明けまでの短い時間。
二人の止まっていた時計が、静かに動き出す。
ひとりぼっちが二人いたら。
──小説『お姉ちゃんと年越しカップそば』原案台本。
◆作者より
本作は、拙作小説『お姉ちゃんと年越しカップそば』の原典となった物語を、改めて舞台台本として書き下ろしたものです。
元々はこの「兄と妹」の会話劇として私の中に生まれた物語が、後に形を変え、あの「姉と妹」の小説へと昇華されました。
いわば、あのアスファルトに溶けるような物語の「魂の設計図」とも言える作品です。
設定や食べ物は異なりますが、根底にある「救い」のテーマは同じ。
小説版とはまた違う、二人のテンポの良いやり取りと、舞台台本ならではの空気感をお楽しみいただければ幸いです。