あらすじ
目が覚めたら、乙女ゲームの悪役令嬢になっていた。
名前はリゼルテ・ヴァン・クローゼル——公爵家の一人娘にして、ゲームでは第三章で「毒殺未遂の罪」により断罪・処刑されるキャラクター。
残された猶予は、わずか三ヶ月。
だが、私には前世の記憶がある。 日本で法医学者として数百体の遺体と向き合い、真実を暴き続けた三十二年間の記憶が。
——死体は嘘をつかない。
リゼルテが「毒殺犯」に仕立て上げられるのなら、その冤罪を前世の知識で覆せばいい。死斑の色から毒物を特定し、死後硬直の進行から犯行時刻を割り出し、この世界の誰も知らない**「検死」**という概念で、真犯人を炙り出す。
ところが、一つの事件を解決するたびに、さらに深い闇が顔を覗かせる。
王宮で連続する不審死。消えた第二王子の遺体。聖女の「奇跡」に隠された不都合な真実——。
そしてリゼルテは気づく。 このゲームのシナリオそのものが、誰かに書き換えられていることに。
「私の断罪は、もっと巨大な陰謀のほんの序章に過ぎなかった——」
冷徹な天才王太子・アルヴィン殿下は、なぜか彼女の推理に異常な関心を示し、やがて二人は宮廷に蠢く「見えざる敵」を追い始める。
前世は法医学者。今世は悪役令嬢。武器はメスではなく、知識と論理。
死体の声を聴く少女が、運命もシナリオも、この世界の理すらも覆す—— 宮廷検死ミステリー、開幕。