あらすじ
宗教共和国の聖都リザルト=レイヴンに、
かつてない危機が重なろうとしていた。
聖都を守る六大卿の一席、
ラーデンブルク公爵の地位は五年間空位のまま。
後ろ盾を失った宮廷では権力者たちの思惑が交差し、
内政は停滞し、腐敗は深く根を張っていた。
そこへ、南方の小国スウェヴィが三万の軍を率いて進軍を開始する。
国軍を動かす軍事総監は不在。
六大卿は派閥の争いに明け暮れ、会議は踊れど進まない。
皇母リザルト=レイヴン四世が最後に頼った相手は、
宮廷の誰でもなかった。
離宮に引きこもり、気が向かなければ絵も描かない。
皇母付きの女芸術家ヴィラン=ウィーグ。
傍若無人で、飄々として、誰にも従わない。
しかし、亡きラーデンブルク公が生涯でただ一人、その才を認め、
すべてを教え込んだ弟子が、この女性だった。
爵位だけではない。
名も、意志も、師が積み上げた責任まで――
継ぐべきものは、すべてこの一人に向けられていた。
『遺志を継ぐ者』は、
腐敗した権威と外敵の侵攻が同時に聖都を脅かすとき、
亡き師の名と意志を継いだ一人の女性が、
聖都の命運を引き受けるまでを描いた、
全43話完結の継承戦記である。
※本作は、高校生の頃執筆した長編作品をもとに、
原文を改編せず、Web向けに構成・分割した完結作品です。