あらすじ
目が覚めたら、ハムスターだった。
記憶もない。名前もない。あるのは「人間だった」という感覚と、神様に押しつけられた無茶な使命だけ。
「あの少女の心を癒せ」——見せられた未来では、黒髪の少女が世界を焼いていた。
転生先はペルシャ風の宗教国家ザフラール。聖獣専門店のケージの中。魔法は使えず、できることといえば回し車を回すことくらい。隣のハムスターに話しかければ「ねむい」で会話終了。使命の進捗率、ゼロ。
そんなダメダメな日々を過ごしていたある日、店に現れたのは——あのビジョンの少女だった。
聖公爵家の令嬢ロコ。完璧で、冷たくて、感情を閉ざした少女。
なのに二人きりになると、こっそり「可愛い」と呟いてくる。
魔法も剣も使えないハムスターに、世界を変える力なんてあるのか?
でも、もしかしたら。
ペレットをもらって、頭を撫でられて、ただそばにいること——それが、誰かにとっての「救い」になることだってあるかもしれない。
これは、手のひらサイズの小さな命が、未来の独裁者を「ただの寂しがり屋」に戻す物語。