あらすじ
砂漠の真ん中で、退魔師の青年・リインは逼迫した状況にあった。理性を失いかけた相棒の魔物・シャンタナに喰われる寸前なのだ!
シャンタナを狩りたたせるのは、原因不明の『飢え』。主人であるリインを『喰う』ことでしか解決しない。
そんなのまっぴらごめんだ!
そこでリインがとった作戦は……
料理と夜話で時間稼ぎ!
美味しい料理でシャンタナの興味を引き、夜話を語り・語らせることにより、喰われるまでの時間稼ぎを目論んだのだ。
リインが腕によりをかけて用意するのは、スパイス香る魅惑のエキゾチック料理の数々(※自白剤入り)。
かつて故郷で薬師としての修行を積んでいたリインは、スパイスの扱いもお手の物である。
一方、淡麗な姿のくせに底無しの食欲を持つシャンタナは、毎夜目を輝かせて料理を平らげ、『語らされる』作戦にまんまと乗ってくる。
夜毎に芳しい食卓を囲み、互いに語らうのは、
脳筋聖者と声を奪う壺の話。
幼少期に引き取った『神さまの種』を育てた話。
人形のような少女と特別な香水の話。
相手の人生を飲み干す、奇妙な銀杯の話。
遠く美しき『眠りの国』での不思議体験の話。
――……などなど、二人が実際に体験した数奇なエピソードの数々。
笑い、食べ、語り、ときに喰われそうになりながらも、また食べて語らう。
そんな夜を積み重ねるうちに、リインの胸には別の願いが芽生えてゆく。
――喰われたくない、ではない。シャンタナを、飢えの苦しみから救ってやりたい。
自分が喰われれば簡単に解決できる。だがそれは一時的なもの。いつか自分が死んだ後にも生き続けるシャンタナは、再び飢えが訪れれば独りで苛まれ続けるだろう。
そんな未来を、絶対に残していきたくない。
そのために、夜話を通じて秘密を探りだし、『飢えを解決するための薬』を作ってやろう――と。
リインは、シャンタナの夜話の端々から、『飢え』の解決法の手がかりを拾い集めてゆく。
語らうとはつまり、相手の経験や記憶を食うこと――語らうことで、シャンタナを食い尽くすのだ。
語らうごとに互いの理解は深まるが、同時に不思議な夢を見るようになるリイン。
シャンタナの語った過去の人物たちと意識が接続され、当時の光景をこの目で見ているような……。
いつしか現実と区別がつかないほどに彼らの姿は鮮明に見えるようになり、だんだんと彼らと自分の境界線が曖昧になってゆく。
ついに千の夜を越えたとき、リインはすべての真実を悟る。
そしてシャンタナ自身も知らない、彼のおぞましい秘密に辿り着き――……。
【食】×【夜話】×【幻想ミステリー】。
異国情緒たっぷりの、美味しいアラビアンナイトを召し上がれ!
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【登場人物紹介】
リイン
明るく闊達な退魔師の青年。訳あってシャンタナと契約している。
料理の腕を活かして、シャンタナの秘密を探ろうと目論む。
シャンタナ
幾度死んでも蘇る非常に強力な魔物。
その特性ゆえに二千年以上生きている。
普段は美しい男の姿をしているが、本来の姿は下体が大蛇である。謎多き過去を持つ。
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全30話。毎日18時15分更新予定。
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
※この作品はフィクションであり、登場する団体は実在の人物・団体とは関係ありません。