あらすじ
目が覚めると、知らない男の腕の中にいた。
薬指には揃いの指輪。ここは自分の寝室で、この人は自分の「夫」らしい。
精霊契約師フィオナには、三年分の記憶がない。
三年間、深い眠りについていた。政略婚の飾り妻だったと聞かされた。
けれど、それにしては。
枕元に毎朝届く花。好みの銘柄で淹れられた紅茶。
三年間、目覚めない妻の部屋の前で毎晩足を止めていたという夫。
断片的に戻る記憶が映すのは、「白い結婚」とは違う景色。
あの冷たいはずの夫が、なぜ枕元で泣いていたのか。
その答えに辿り着いたとき、フィオナは知る。
記憶を奪ったのは、他でもない自分自身だったことを。