あらすじ
ブラック企業での異常な長時間労働の末、限界を迎えて居眠り運転をしてしまった杉山和也。
その一瞬の過ちが、見ず知らずの男性の命を奪い、ある家族の温かな未来を完全に破壊してしまう。
通夜の席で、親族から猛烈な罵倒を浴びる杉山。だが彼の心を最も深く抉ったのは、幼い子供を抱き、心が崩壊したかのように憔悴しきった被害者の妻の姿だった。
「必ず、必ず償いは致します。必ず――」
過労という社会の歪みに潰された被害者でもあった男は、懲役10年の実刑判決を受け、己の残りの人生すべてを懸けた「償い」を決意する。
果たして、失われた命への贖罪など存在するのか。
加害者の悲壮な決意と、遺された者の決して癒えることのない喪失感。「償い」という言葉の残酷な本質を問う、短編ヒューマンドラマ。