あらすじ
誰かの空腹を満たすことが、私の唯一の魔法だった。
宮廷厨房で賄い飯を作り続けてきたフィオは、ある日突然、厨房長の陰謀により「魔物の食材を使った」という濡れ衣を着せられ、王宮を追放された。
行く当てもなく辺境へ流れ着いた彼女を拾ったのは、人間嫌いで知られる辺境伯ヴェルナー。彼の領地は魔物の脅威に晒され、民の士気は地に落ちていた。
フィオは得意の賄い飯で兵士たちの心と体を立て直し、やがてその料理は「辺境の飯テロ」と噂されるほどの評判を呼ぶ。
しかし、王宮では新たな厨房長が供する料理に異変が起き、貴族たちが次々と体調を崩し始める。フィオを追放した者たちの嘘が、少しずつ綻び始めていた。
才能と権威、真実と虚飾、誇りと服従。
三つの対立の中で、フィオは料理という武器だけを手に、静かに、しかし確実に反撃を開始する。
彼女の作る一皿は、果たして王国の闇を暴く鍵となるのか――。