あらすじ
由緒正しきアストレイア侯爵家の長女・リリアーナは、抗えない睡魔に襲われ、一日の大半を眠り続ける特異な『眠り病』を抱えていた。
学園に入学した彼女の起きている時間は、一日のうち、たったの「六時間」。
それでも彼女は、名門貴族としての誇りと持ち前の正義感から、起きている貴重な時間を使って弱き者を助けようと奔走する。
自身の命が削られていることにも気づかず、ふにゃりと無防備に微笑む彼女に、学園の頂点に君臨する四人の男たちが容赦なく惹きつけられ、狂わされていく。
「お姉様の起きている時間は、すべて僕が守り抜く」
――狂信的な愛情と執着を向ける美しき義弟、テオドール。
「これほど美しい鳥なら、私の特別な鳥籠で保護せねば」
――圧倒的な権力と独占欲で彼女を囲う黄金の王太子、エドワード。
「君の盾になら、生涯なれる」
――密かな熱情を秘め、絶対の忠誠を誓う黒銀の騎士、レオナード。
「俺が必ず、君の呪いを解体してみせる」
――彼女を救うためなら禁忌すら厭わない天才魔術師、シリル。
彼女のまどろみの時間が長くなるにつれ、彼らの愛と過保護さはより深く、重く、狂気を帯びていく。
不治の病に抗う術を持たない男たちが最後に行き着いたのは、彼女のすべてを世界の脅威から隔離し、永遠に愛で続けるという歪な純愛だった。
やがて永遠の眠りが訪れるその時。
無自覚な優しさで男たちを魅了した令嬢を待っていたのは、死という悲劇か、それとも――誰にも邪魔されない硝子の城で一生涯愛され続ける、狂おしいほどのハッピーエンドか。
これは、ひとりの気高く心優しい令嬢が永遠の微睡みに落ちるまでの、美しくも残酷な純愛の物語。