あらすじ
太っていて、足も遅い。
目立った才能なんて、何一つない。
それが、青山拓という少年だった。
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サッカーを始めた理由も単純だ。
ただ、弟が上手かったから。
「自分にもできるはずだ」と思っただけ。
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だが現実は違った。
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弟・夏基は天才だった。
技術も、センスも、すべてが上。
一方の拓は、何もかもが足りない。
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それでも、彼にはひとつだけ“武器”があった。
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——すべてが見えている。
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キーパーとしてゴールを守る中で培った
空間認識、判断力、そして戦術眼。
それはいつしか、試合全体を動かす力へと変わっていく。
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だが、そのプレーはあまりにも地味だった。
「すごいのは分かるけど、何がすごいか分からない」
評価されない現実。
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それでも拓は考え続ける。
どうすれば点を取られないか。
どうすれば攻撃に繋がるのか。
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やがて彼は一つの武器を手に入れる。
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“消えるパス”——ジーニョパス。
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小さく、だが確実に相手をズラすその一手は、
試合の流れすら変えていく。
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守るために始めたサッカーは、
やがて“点を取る”衝動へと変わる。
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これは、
天才ではない少年が、
思考と積み重ねで“試合を支配する存在”へと進化していく物語。
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そして——
その先にある頂点、“ゼニス”へ。