あらすじ
勇者《カイル・ヴェルナー》は、担当していた第十九魔王《霧喰いのザルヴァ》の討伐を目前にして、致命的なミスを知る。
勇者契約の更新期限が、昨日で切れていたのだ。
この世界で勇者は唯一の英雄ではない。
国家に認可された「魔王討伐の契約者」に過ぎず、契約を失効すれば担当魔王は公開競争入札に回されてしまう。
進捗は七割。
ここで担当を奪われれば、これまでの苦労は水の泡。
だが、王都冒険者管理局の勇者契約管理官《リシェル・アーデン》は告げる。
正式な担当でなくても、魔王を倒す方法はある、と。
必要なのは、面倒な書類。抜け道じみた制度知識。
そして、新しい担当が決まる前に魔王を討伐して帰ってくるだけ。
これは、契約を切らした勇者が、制度と書類と理不尽に振り回されながらも、自分の担当魔王を取り返しに行く物語。
剣と魔法の世界で最後にものを言うのは、英雄譚ではない。
期限厳守と、特例申請である。