あらすじ
枯れ果てた王都の大地に、夜な夜な魔力を注ぎ、命の息吹を与え続けていた伯爵令嬢のルシエル。
しかし彼女は「真の聖女」としての手柄をすべて異母妹のマリアンヌに奪われ、さらには無実の罪を着せられて、一年中雪と氷に閉ざされた極寒の北の公爵領へと永久追放されてしまう。
すべてを失い、死を覚悟してたどり着いた氷の城。
そこで彼女を待っていたのは、「冷酷公爵」と恐れられる若き領主・カリスだった。
しかし彼は、噂とは正反対の、不器用だが誰よりも領民思いで優しい男性だった。
カリスに隠された真の力を見出されたルシエルは、彼と「1年間の契約結婚」を結び、北の大地を救うために立ち上がる。
温かい食事、安全な寝床、そしてカリスの不器用な優しさに触れ、ルシエルの凍りついていた心は少しずつ溶かされていく。
さらに、怪我をしていたところを助けた巨大な銀狼――実は恐ろしい「精霊の王」ブランにもすっかり懐かれてしまい、ルシエルの周りはかつてないほどの温もりともふもふで満たされていく。
一方、真の聖女を失った王都は急激に枯れ果て、崩壊の危機を迎えていた。
焦った王都側はルシエルを連れ戻そうと理不尽な要求を突きつけ、ついには呪いの攻撃まで仕掛けてくる。
だが、今のルシエルはもう一人ではない。愛する人たちと、自らの居場所を守るため、彼女は真の力を解放する――!
これは、すべてを奪われた少女が、北の地で不器用な公爵様と愛らしい精霊王に囲まれ、世界一温かい春を咲かせるまでの、奇跡と溺愛の物語。
【登場人物紹介】
◆ルシエル
不遇の扱いを受けてきた伯爵令嬢。
妹に王太子の婚約者の座を奪われ、北の地へ追放される。
自己評価は低いが、底抜けに優しく芯が強い。
枯れた大地を蘇らせる真の聖女としての強大な魔力を秘めているが、本人は無自覚。
◆カリス
極寒の北の領地を治める若き公爵。
常に無表情で口数が少ないため冷酷公爵と恐れられているが、実際は不器用で領民思いなだけ。
ルシエルを契約妻として迎えるが、彼女の温かさに触れて過保護なほどに溺愛するようになる。
◆ブラン
北の地に住まう精霊の王。
本来は恐れられる存在だが、ルシエルに命を救われて以来、彼女の前ではもふもふの愛らしい巨大な銀狼として振る舞い、常に甘えている。
◆フェリクス
王太子。
ルシエルの元婚約者。
表面的な美しさと言葉にだまされ、真の聖女を手放した浅はかな青年。
◆マリアンヌ
ルシエルの異母妹。
愛らしい外見で周囲をだますのが得意。
偽の聖女としてちやほやされるが、その力は長続きしない。