あらすじ
幼い頃から共に育った王太子アルノーと、ずっと婚約していた。
それが突然終わったのは、エリーゼが十六歳の春だった。
「政略上の都合だ」——父はそう言った。
翌月、エリーゼはルシアン侯爵に嫁いだ。
侯爵は優しかった。悪い人ではなかった。
ただ、彼の心には最初から別の女性がいた。
そしてエリーゼの心にも、ずっと消えない名前があった。
五年後、王太子妃選定の夜会。
久しぶりに見たアルノーは、以前より美しく、以前より冷たい顔をしていた。
——それなのに、エリーゼだけを見ていた。
「待っていた。ずっと、おまえだけを」
引き離された五年間。
殿下の心には、私だけがいた。