あらすじ
あらすじ
白瀬町の夏祭りの夜。
高校三年の朝倉澪は、幼なじみの榊蒼真に神社の石段の前で強く引き止められる。
「おまえは、思い出さなくていい」
意味のわからないその言葉の翌日、澪の鞄からは見覚えのない古いお守りが見つかった。
差出人不明のメッセージ、誰もいないはずの境内で鳴る鈴の音、裏山に現れる白い子どもの影。
そして、自分だけが忘れている“あの夏の夜”の約束。
近すぎるから言えない。
長く一緒にいたからこそ、壊すのが怖い。
それでも記憶と向き合ううちに、澪は気づいていく。自分が忘れていたのは怪異の正体ではなく、ずっと隣にいた幼なじみへの気持ちだったのだと。
これは、忘れてしまった約束と、置き去りにしていた初恋を取り戻す物語。
和風怪談の薄い不穏さをまとった、切なくて最後に泣ける幼なじみ純愛。
登場人物紹介
■ 朝倉 澪(あさくら みお)
高校三年生。白瀬町で生まれ育った女子高生。穏やかで人当たりがよく、大切な気持ちほど口に出せない不器用さを持つ。子どもの頃の夏祭りの夜の記憶が一部抜け落ちている。
■ 榊 蒼真(さかき そうま)
高校三年生。澪の幼なじみ。口数は少ないが面倒見がよく、澪のことになると少し過保護。澪が忘れている“あの夜”の約束を、今も一人で抱え続けている。
■ 藤宮 莉乃(ふじみや りの)
澪の親友。明るくて恋愛ごとに妙に鋭く、澪が本音を誤魔化すたび見抜いて背中を押す。
■ 佐伯 真緒(さえき まお)
図書委員。蒼真と一緒にいることが多い、落ち着いた雰囲気の女子。悪意はないが、その存在が澪の気持ちを浮き彫りにしていく。
■ 日向 朔弥(ひなた さくや)
日供神社の宮司の孫。祭りの時期だけ白瀬町へ戻ってくる。町の言い伝えや禁忌に詳しく、澪に断片的なヒントを与える。