あらすじ
二〇六〇年代の日本。陸海空すべての物流は巨大企業「日環」とAI交通管制システム「NERVA」に全面依存していた。
早瀬凪は、そのNERVAを支える現場主任。一度見たものは忘れない記憶力で、全国の道路データ──誰も通らない旧道や林道まで──を読みあさっている。動機は、手動運転の時代に旧道を走り抜いた伝説のトラック運転手・祖父への、言葉にならない憧れと恐怖。
そんな彼女の胸の奥に、名前のない不安が沈んでいた。「全部を一つに預けてしまって、いいのか」。
ある日、某国リージョンのデータセンターが報復攻撃で消し飛び、海外単一リージョンに集約されていたNERVAは一瞬で沈黙する。無人トラック隊列は全国で停止し、港湾も空も止まり、日本は物流ごと孤立した。
崩壊から七日目。霞が関で凪は、NERVAのフルバックアップテープが岐阜・荘川の倉庫に眠っていることを知らされる。届け先は千葉・印西のナショナルDCハブ。足は、旧型ディーゼルトラック「銀嶺号」。運転するのは、祖父と共に旧道を走った元長距離ドライバー・荒木健三。
「自動運転ゼロ」の日本列島を、旧国道と林道だけで横断する救出行が始まる。
これは、効率と安全をAIに預けきった世界で、「人間の筋肉としてのバックアップ」を取り戻す物語。
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