あらすじ

大学一年の秋、倉田柊(19歳)は高校時代から想いを寄せ続けてきた高嶋美咲に、ついに告白のメッセージを送る。しかし既読がつくだけで返信は来ない。三日間待ち続けた柊のもとに、ようやく届いたのは「実は入院していた」という美咲からの言葉と、そして「私も、ずっと好きだった」という告白だった。 ふたりは文化祭の日から互いに想い合いながらも、二年以上、一度も気持ちを言葉にできないまま過ごしてきた。美咲は東京の大学へ進み、柊は地元に残り、少しずつ連絡の間隔が空いていく中で、柊は美咲のSNSに見知らぬ男との写真を見つけ、焦りと後悔から初めて想いを打ち明ける決意をする。 メッセージの交換でお互いの気持ちが通じ合い、翌週、柊は東京へと向かう。しかし改札の向こうに現れた美咲の隣には、SNSで見た男——サークルの先輩・田中がいた。三人でカフェに入り、田中が席を外した隙間に美咲は静かに告げる。「先週、告白してもらって。付き合うことにした」と。 柊のメッセージが、美咲に自分の気持ちを整理させるきっかけを与えた。しかしその結果、美咲が選んだのは柊ではなかった。 「幸せになってね」と言い残し、柊はひとり新幹線で地元へ帰る。窓の外に流れる夕暮れを眺めながら、二年分の想いを静かに過去形にしていく。金木犀の匂いが残る部屋で、柊はただ天井を見つめた。泣けなかった。悲しいというより、嵐の後のように、静かだった。

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小説を読もう2026/04/01
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