あらすじ

ある朝、井戸水からいつもの硬さが消え、ほのかな甘みを感じた。それは静かな異常事態の始まりだった。 台所の塩壺からは塩が消え、三日前に仕込んだはずの干物からは塩気が抜け落ちている。豆腐屋、味噌屋、魚屋……町の営みが少しずつ、しかし確実に狂い始めていた。 醤油の色は透き通り、漬物樽の白菜は発酵することなく生のまま。そして、町の人々が向かった海は、潮の香りを失い「ただの水」へと変わっていた。 「沖へ二時間進めば、まだ海だった」 漁師の言葉が示す、見えない境界線。 塩分という当たり前の存在が世界から消失していく中で、人々はパニックを起こすこともなく、ただ淡々とその事実を受け入れていく。 静かに浸食してくる非日常。当たり前だった食卓の味が失われていく恐怖と、それでも続いていく夫婦の生活を描いた、日常侵食SFミステリー。

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小説を読もう2026/04/23
  • 現在の作品海がただの水になった日〜世界から塩が消失していく静かな終末〜