あらすじ
王都の裏路地は、ごみの山だった。
表通りは毎朝きれいに水を撒くのに、裏では鼠が走り、病人の寝藁まで積まれ、熱病で人が倒れていく。
貴族は「平民が怠けているからだ」と言い、平民は「捨てる場所がない」と肩をすくめる。
誰も、集めて運ぶ仕組みを作らなかった。
そこに送り込まれたのは、チートなしの「凡人枠」転生者。
前世で二十年ごみ収集に従事した、清掃員の佐久間彰だ。
魔法は使えない。剣も持てない。
だが、分別、回収日、処理場、そして字が読めなくても分かる案内板なら知っている。
長靴と革手袋と荷車だけを武器に、若い書記リズや仕事のない人々と一緒に、王都の疫病を食い止められるか。
ごみの山が減るたび、人が減らなくなる。
これは、誰にも褒められにくい「普通の仕事」で、街の朝を取り戻す物語。