あらすじ
2248年、人類は肉体という概念を問い直していた。
98歳の佐伯彰は、心臓も腎臓も機械に任せ、ただ死を受け入れるつもりだった。しかし、その朝に流れたニュースが彼の運命を変える。
「人類、光速の28パーセントに到達」
あと少しだけ、未来を見ていたい。
彰は自らの法的死亡を受け入れ、脳以外のすべてを機械に置き換える
「シェル・トランスファー」を決断する。
誰も俺を「おとうさん」と呼ばない、新しい人生。
傍らには、謎めいた超高度AI「はなちゃん」がいる。
遺産を巡り醜く争う親族を背に、彰は音のしない足で宇宙へと踏み出す。
太陽圏の外縁、光の粒が満ちる深淵で、彼はかつて愛した人の面影を見つけることになる。