あらすじ
美しかった故郷は、たった一夜にして絶望の紅蓮へと沈んだ。
すべてを奪われ、死の淵を彷徨っていた私へ手を差し伸べたのは、美しくも残酷な慈愛を湛えた女神セレーネ。
彼女に魂を切り売りした私は、身分を偽り『リディア』と名を変えた。
そして、メイドに身をやつした怪しい女神を従え、復讐の業火を宿す亡霊として蘇ったのだ。
数年後、憎き隣国に占領された旧王都の土を踏んだ私を待っていたのは、絶望に狂う民草だけではない。
私の名を騙り、人々を集める『偽物の姫』。
さらには、あの日私を守れなかった罪悪感に苛まれ、ボロボロになりながらも亡霊の幻影を追い続けるかつての近衛騎士、フェル。
正体を隠したまま彼と行動を共にするうち、私たちは敵国が企む大規模な儀式の陰謀へと巻き込まれていく。
魂を削る過酷な道行きの中で、フェルが向ける痛いほどの優しさに、捨てたはずの心が軋みを上げた。
神の理さえも盤上からひっくり返し、私は泥に塗れてでも自分の足で明日を掴み取ってみせる……!