あらすじ
おれは……死んだ、のか……。
気がつくと、おれは雲のように白く柔らかな大地の上に立っていた。目の前には巨大で荘厳な門がそびえ立っている。白を基調とし、ところどころに黄金の装飾が施されたその門はすでに大きく開かれ、向こう側から黄金色のまばゆい光が滝のようにあふれていた。まるで『怖くないよ。早くおいで』と言っているかのように、天使たちが奏でているのだろうか、穏やかな音色も「安いよ安いよー!」聞こえてくる。
周囲を見渡すと、おれの他にも人々が点在しており、皆、戸惑いと感慨が入り混じった表情で、ゆっくりと門へと歩を進めていた。「お兄さん、こっちも見てってよー!」
その光が「こちら新商品!」……その光がこちらを温かく迎え入れてくれるようだったからだ。おれは唾を呑み込み、ゆっくりと門を「今ならもう一個おまけにつけちゃおう!」……ゆっくりと門を通った。「ウォータサーバーに興味ありますかあ?」
門の先は紛れもなく天国であった。白く古風な建物が整然と並び、古代ギリシャを思わせる柱や石畳がどこまでも続いている。頭上には澄み切った青空が広がっていた。「今契約すると、専用ボトルがもらえますよお!」空気は澄んでおり、胸いっぱいに吸い込むと「最新の空気清浄機、ぜひ!」心まで軽くなるようだった。