あらすじ
いつもそばにいて、難しそうな顔をする時もあれば、双眸を伏せてじっと聞いている時がある。特に人が集まるところが好きで、仕方ない──そんな顔で偉そうに。何を言うでもなく。
たまに光を追って。食欲旺盛で、重い。もう抱っこはできない。無関心なようにしているが、顔を洗っている。そろそろ、爪を切るらしい。
それはそうだ。無意識にでも傷つけられたら、たまったものではない。それに、なにに怒るのかも分からない。
色が白くて、所々赤い。
姿勢正しく座っていて、ご飯はまだか?と目で訴えるのが得意だ。口数は本当に少ない。たまになにか言っても、聞き取りづらい。
恋人もいる訳がない。
ただかわいいかわいいと、愛されている。
今、小さな頭でなにを考えて、どんな気持ちで、なにを求めているのか。
一生懸命に伸びをして、欠伸をして。
ここへ来たことに意味があるのか。
そんな、運命だったのか。運命は電車のレールのように、決まっているのか。その道を真っ直ぐに進んでいくのか。
今日も日向ぼっこをして、寝る。
きっといろんなことを考えていて、本当は寝ていない。家族を見ても、いつも興味が無さそうにしている。だが、一番よく分かっている。
家族の不調も、喧嘩も、楽しさも。
いずれは、いなくなる。先の話かもしれない。いきなり訪れるものなのかもしれない。
あと、何年、何十年でも──家族がいなくなる時にいてくれると。皆寂しい思いをせずに、生きてほしいものだと思うもの。
お腹が空いたら見上げる。安全だと、寝る。二人きりの時は、話し相手になる。その時も姿勢正しく座って、隣にいるのだ。だらけて、くたびれる時もある。
本当は、一番の幸せ者か。
言葉は、通じない。話せたなら。
真ん丸な瞳孔は夜の証。
尻尾が揺れる、不機嫌そうな──家の小さな、かわいい神様だ。
それは、猫という。