あらすじ
婚約者から突然、書面一枚で婚約破棄を告げられた令嬢。
理由も説明もなく一方的に切り捨てられた彼女は、取り乱すこともなく静かに現実を受け入れる。
だが、実家にも戻れず後ろ盾も失った彼女に残された道は少ない。
生きていくため、彼女は王都でも“冷酷”と恐れられる公爵家の使用人募集に応募することを決意する。
厳しい人物だと噂される公爵だったが、面接は驚くほどあっさりと終わり、彼女は即採用される。
戸惑いながらも働き始めた彼女だったが、やがて奇妙な違和感に気づく。
常に誰かに見られている気配。
外出時には必ずついてくる人影。
そして、過剰すぎるほどの安全配慮。
それらはすべて、公爵の指示による“護衛”だった。
なぜ、ただの使用人である自分がここまで守られるのか。
問いかけた彼女に、公爵は静かに告げる。
――かつて、君に命を救われたことがある。
雨の日、偶然助けた見知らぬ男。
それが目の前の公爵本人だったと知り、驚く彼女。
だがそれだけではない。
彼は彼女を手放すつもりがないと断言し、屋敷に留まるよう半ば強引に囲い込む。
「ここにいれば守る。外に出れば保証はできない」
それは保護か、それとも独占か。
捨てられたはずの令嬢が、なぜか冷酷公爵に過剰に守られ、逃げ場を失っていく物語。
そして気づけば、それは甘く不器用な“溺愛”へと変わっていく――。