あらすじ
前世はごく普通の乙女ゲームオタクだった。
推しは、攻略対象ですらなかった。
設定資料集に「病弱な第二王子。離宮で療養中」——たった一行。
立ち絵もない。ボイスもない。それなのに心を撃ち抜かれた。
そんな私が転生したのは、よりによってそのゲームの悪役令嬢。
婚約破棄。追放。そして死。
回避しようと足掻いた。7回死んだ。何をしても破滅する。
8周目。もう自分の幸せは諦めた。
でも——たった一つだけ、やり残したことがある。
ゲームでは一行だった推し。この世界では、離宮で一人きり呪いに蝕まれている本物の人間。
好きな花は白百合。好きな飲み物はカモミールティー。
笑う時に首を傾げる癖がある。
画面越しじゃなく8周かけて知った、設定資料集には載っていない本当のこの人。
この人だけは幸せにして終わりたい。
追放を受け入れて離宮に乗り込んだ。
推しの呪いを解く。それだけが目的。
——のに。
8周分の知識で推しの好みを完璧に言い当ててドン引きされる。
つい「ファン」と口走ってこの世界にない概念で困惑させる。
達観した悟り系のはずが、推しの前だけ感情がバグる。
挙げ句、推しに言われた。
「今度は僕があなたを助ける番だ」
推しに推し返されるのは想定外なんですけど!?
自分の幸せを諦めた悪役令嬢が、
推しに幸せにされていく物語。
全10話完結。