あらすじ
聖女の家系に生まれながら、魔力を持たない「無能」として虐げられてきたエリス。彼女に下されたのは、強大な魔力を持つ双子の妹の代わりに、恐ろしい魔王への『生贄』として敵国へ赴くという非情な命令だった。
死を覚悟し、魔界の居城『万魔殿』に降り立ったエリス。
そこで彼女を待っていたのは、漆黒の角を持つ冷酷非情な魔王ゼノス。
「……やっと来たか。一生、ここから逃がしはしない」
その地を這うような低い声に、エリスは「一生拷問されるんだわ!」と絶望して気絶してしまう。
しかし、目を覚ました彼女を待っていたのは、血の池地獄ではなく……湯気を立てる極上のローストビーフだった。
「残さず食え。一口でも残したら……どうなるか分かっているな?」
(ヒィッ! 食べないと殺されるんだわ!)
震えながら口にした料理は、人間界では考えられないほど美味しくて――。
それからというもの、エリスの「絶望の拷問生活」は、最高級のドレスに、ふかふかのベッド、そして不器用すぎる魔王による怒涛の溺愛へと変貌していく。
実は魔王ゼノスにとって、エリスは十数年前から探し続けていた「命の恩人」だったのだ。
当の本人は、魔王が怖すぎて「太らせてから食べられるんだわ!」と盛大な勘違いをしたまま、あまりの居心地の良さに、徐々に魔界に絆されていき……。
今さら「やっぱり返せ」なんて、誰が言うものですか。
だってここ、ご飯が最高に美味しいんですもの!
不器用な最強魔王と、胃袋を掴まれた勘違い令嬢が織りなす、甘くて美味しい「執着」の物語。