あらすじ
売れない漫画家・神崎結衣は、自分の作品の打ち切りを目前に絶望していた。
キャラクターを愛しているはずなのに、物語は“盛り上げるため”に誰かを犠牲にする展開ばかり——。
そんなある日、結衣は突然、自分の描いた漫画の世界へと転生してしまう。
しかしそこで待っていたのは、歓迎ではなかった。
「俺たちの人生を、勝手に決めたのはお前だろ」
主人公・レイをはじめ、登場人物たちは“作者”である結衣を敵として憎み、彼女は処刑対象として追われる存在になる。
さらに結衣は、自分が過去に描いた“適当な設定”や“都合のいい展開”によって、世界が歪み、多くの人間を苦しめている現実を突きつけられる。
唯一、彼女に手を差し伸べたのは——
物語の途中で殺したはずの少女、福山えみり。
「私、ちゃんと生きてた?」
終わるはずだったのに終われなかった“未完の存在”であるえみりは、結衣に問いかける。
キャラクターはただの物語なのか、それとも——生きているのか。
やがて現れる、もう一人の“作者”・黒崎恒一。
「物語は面白くなければ価値がない」と語り、世界を“完成された作品”へと書き換えようとする。
そしてさらに、“終わらせる者”・沖田終夜。
「すべては終わるから美しい」と、物語そのものに終幕を与えようとする。
創る者、完成させる者、終わらせる者。
三つの“正しさ”がぶつかる中で、結衣は選ぶ。
壊してしまった世界を、もう一度“描き直す”のか。
それとも——
「この物語は、誰にも決められない」
結末すら手放したその先で、キャラクターたちは初めて“自分で選ぶ”。
これは、作者が“神”から“当事者”へと変わる物語。
そして——
未完成のまま続いていく、誰のものでもない物語。