あらすじ
中学時代、僕はただの「空気」だった。
誰からも嫌われず、誰からも思い出されない存在。
だから僕は、高校入学と同時に一つの「システム」を作った。
相手の期待を読み取り、最適なラベルを貼り、完璧な自分を演じるための仕組み。
その結果、僕は“正しく”クラスの中心にいる。
――のはずだった。
文学に没入する無口な少女・吉野日和。
誰にでも同じ温度で笑う少女・朝比奈凛央。
彼女たちは、僕の「ラベル」を、まるで最初から存在しなかったかのようにすり抜けてくる。
分類できない。予測できない。
それでも――なぜか、目が離せない。
取り繕うほど、距離は歪み。
壊れかけるほど、心は近づいていく。
これは、完璧な「自分」を演じていたはずの僕が、
崩れていく過程で、誰かと繋がってしまう物語。