あらすじ
「火の女神ヴァルマの神託に従い命じる。勇者よ、巨悪を討ち滅ぼし世界に平和をもたらすのだ!」
場は王宮、国王陛下の御前。恭しく垂れた頭の中で、炎の勇者は考えた。普通に嫌です、と。
「水の女神ミュリの神託です。必ずや忌々しき怪物を討ってください。行ってくださいますね?」
場は大聖堂、大神官の御前。両手に肩を置かれて問われ、水の勇者は頷く他なかった。圧が凄かったので。
「大地の男神ドルゴの神託だ。この中で最も屈強な戦士であるお前に、世界の平和を託すと仰られた」
場は聖樹の根元、族長の御前。湧き上がる歓声の中、大地の勇者は不敵に笑った。やはり強者には使命が付き物だと陶酔した。
「風の男神フィニの神託です。どうやら倒すべき敵というものがいるらしいです。まあ、無理強いはできませんが。あ、拒否の申請をするなら私に面倒のないようにお願いしますね」
場は王立魔法研究所、所長は眼前。周りがやいのやいの囀る中、風の勇者はいつも通り呑気に笑った。なんか面白そうだしやってみるか、と。