あらすじ

4月。 入学式の朝、勢多央《せた おう》は自分のクラスの席を確かめて、 思わず動きを止めた。 最後列の右端。自分の席のすぐ隣に、 座っていた。 葛城《かつらぎ》みお。 正確に言えば、まだ半分しか座っていなかった。 折り畳まれた長い脚を窮屈そうに収め、背中を極限まで縮め、 まるでそこに自分がいないかのように、小さく、小さく、息を潜めていた。 けれど、どうしても隠しきれないものがある。 圧倒的な、高さ。 会話らしい会話もなく、最初の日は終わった。 二日目も、三日目も、大して変わらない。 ただ、少しずつ。 「……少し見えにくかったら、ごめんなさい」 「あ、いや。俺も似たようなもんだから」 そんな一言が積み重なっていく。 教科書の端が触れた、次の授業は何だっけ、図書委員が同じだった。 ありふれた偶然が、糸のようにつながっていく。 恋には、まだ遠い。 でも、何かが、少しずつ近づいている。 ――勢多には、まだ知らないことがある。 みおの本当の身長のこと。 みおの家族のこと。 みおが今日も、背を縮めながら電車に乗っていること。 ――みおにも、まだ知らないことがある。 隣の彼が、こっそり早起きをしていること。 腕時計を撫でるのが、緊張のサインだということ。 そして彼が、背の高い女の子に憧れていた、ということ。 高校生たちの日常を、ゆっくりと。 急がず、焦らず、少しずつ近づいていく物語。

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小説を読もう2026/04/22
  • 現在の作品『隣の席の彼女は、今日も高すぎる』