あらすじ
「あのー……」
深夜、とあるファミレス。客足はとうに途絶え、広い店内に残っているのはその男一人だけだった。エアコンの低い唸りと、奥の厨房から聞こえてくる食器洗浄機の規則的な音が耳に届く。まるで店そのものがゆっくりと呼吸を落としながら眠りにつこうとしている生き物のようだった。
男はテーブルに肘をつき、拳を頬に当てて目を閉じていた。そこへ店員がそっと近づき、おそるおそる声をかけた。
「ん……なんすか?」
男は顔を上げ、重たそうにまぶたを瞬かせた。店員は腰を低くしたまま言う。
「もうすぐ閉店のお時間なんですけども……」