あらすじ
高校二年の夏。
海の近くの町で暮らす僕は、放課後になると決まって同じ場所に向かうようになった。
そこには、いつも一人で夕焼けを見ている君がいた。
最初はただの偶然だった。
でも、何度も隣に座って同じ景色を見ているうちに、少しずつ言葉を交わすようになって、気づけばそれが「当たり前」になっていた。
「ねえ、この夕焼け、あと何回一緒に見られるかな」
君はそう言って、少しだけ寂しそうに笑った。
そのときの僕は、何も知らなかった。
君に“残された時間”が、もう長くないことを。
限られた日々の中で、重ねていく帰り道、他愛もない会話、触れそうで触れない距離。
当たり前だったはずの毎日が、少しずつ特別になっていく。
やがて訪れる、避けられない別れ。
それでも僕は、最後の日まで、君と同じ夕焼けを見ていたいと願った。
――君と見る夕焼けと海は、あと何回だろう。
これは、終わりが決まっている恋と、
それでも未来を信じた、ひと夏の物語。