あらすじ
(……どうして、こんな事になったんだろう……)
桜舞い散る季節、高校へと続く道。
新入生の誰もが希望と不安に胸ふくらませ、木漏れ日の通学路を足早に歩いて行く……。
……そんな中で、ただ一人。
私、新入生の水瀬菖蒲(みなせあやめ)だけは顔を俯け、重い心を引きずりながら歩みを進めて行く。
(……私、これからどうなるのかな……)
か細い声で、誰にともなく問い掛けるけれど、答える声は無い。
うららかな陽気の中、自分だけが世界から切り離されてしまったような、そんな疎外感をひしひしと感じながら……それでも、前に進むしかなくて……。
「……ううん、尻込みしてる場合じゃない。頑張らなくちゃ。とにかく、精一杯……」
怖くて、怖くて、今にもこの場から、この世界から逃げ出したい。
そんなふうに怯える心を鼓舞するように、あえて私は声に出し、覚悟と共に改めて通学路を歩き始めた。
……そっと手を添えた小さな胸に、大きな秘密を隠しながら……。
2018年 2月 4日 執筆開始。