あらすじ
毎朝、同じ時間、同じ場所ですれ違う人がいた。
名前も知らない、言葉も交わしたこともない。それでも、その人がいるだけで、いつも朝は少しだけ安心できた。
しかし、ある日を境に、その人は現れなくなる。
すれ違わないだけのはずなのに、どこか落ち着かなくて。時間を変えたり、遠回りをしたりーー気づけば、探していた。
やがて季節が移り変わる頃。
再び現れたその人に、思いがけず声をかけてしまう。名前も知らないまま始まった、ほんの少しの会話と、並んで歩く朝の道。
これは、ひとりだった散歩が、ふたりになるまでの、たった一歩の物語。