あらすじ
両親が海外出張で不在のあいだ、七歳のわたしはひとり、静かな家に取り残されていた。
本来なら世話をしてくれるはずのシッターは、毎日少しずつ早く帰るようになり、家には不自然な「静けさ」だけが残っていく。
そんな夜、庭に現れる一匹の黒猫――ミル。
わたしは寂しさを紛らわせるように、ミルに話しかける。
「ずるいよね」
ただ、それだけの言葉だった。
だが翌日、シッターは帰宅直後に事故に遭う。
そして彼女はこう言ったという――「黒猫がまとわりついてきた」と。
あの夜、ミルは確かに聞いていた。
それ以来、猫は二度と現れない。
残されたのは、あのとき口にした言葉への後悔と、拭えない違和感だけ。
――もし、あれが願いだったのだとしたら。
幼いひとことが現実を歪める、静かで確実なホラー。