あらすじ
三十一歳の都営ダンジョン避難導線監査官・柏木遥香は、崩落時の避難経路、非常灯、誘導標識の整合を守る地味な仕事に誇りを持っていた。だが大手クラン優遇の安全証明を拒んだせいで、功績も現場も二十六歳の後輩点検官に奪われ、事故の責任まで押しつけられて閉鎖区画の資料庫へ左遷されてしまう。深夜の崩落救助で、現在の瓦礫や灯りから直前までのルートと改ざん箇所を逆向きにたどれる【逆算】が覚醒。消えた避難標識、書き換えられた立入禁止札、スポンサー案件を優先した偽の安全証明、そして閉鎖区画に隠された違法搬入口。三十六歳の救助隊長・鷹城蓮司と、配信記者の小早川灯里に支えられながら、遥香は『誰をどこへ逃がしたか』を一本ずつ引き直し、地味な安全点検から街の命綱を取り戻していく。もう私は、誰かの失敗をかぶるだけの身代わり監査官じゃない。現代ダンジョンの閉鎖区画から始まる、お仕事逆転譚。